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2022.07.28

歯周病について

■歯周病とは?

歯周病は、歯垢や歯石の中の細菌やそれらが産生する毒素、炎症物質などが原因となって起こる病気です。

歯肉だけではなく、歯や歯の周囲にある靭帯、歯を支える骨にまで炎症が起こることがあります。

 

また、以下のような調べがあります。

・9ヶ月齢から犬の歯周疾患は始まる。(小型犬種では、ホームデンタルケアをしないと、9ヶ月で歯周疾患が始まる)

・3歳以上の犬の80%が口腔内トラブルを抱えている。(小型犬種では、3歳までにほとんどが歯周疾患を患っている)

・5歳以上のほとんどは、歯周炎に罹患している。

 

 

 

■症状について

見た目の症状として

歯茎が赤い、食べる時によくこぼす・痛そう、食欲不振、ヨダレが多い、顔が腫れているなど

ひどい場合は、歯の脱落、鼻血、顔の皮膚に穴が開いて出血や排膿、下顎の骨折など

※特に高齢の猫では歯周病が悪化して痛くて食べられないという子が少なくありません。

高齢になると麻酔のリスクが上がり、体調によっては処置できない場合があります。早いうちからケアしてあげましょう。

 

二次的な症状として

肥満、糖尿病、腎疾患、関節炎、心臓疾患、動脈硬化、脳血管疾患、脂質代謝異常、敗血症や菌血症など

歯周病菌やそれらが産生する毒素、炎症物質などが歯周ポケットから全身循環に入ることで全身性疾患と関連することがあります。

 

 

 

■治療について

全身麻酔をかけて歯石・歯垢を除去します。

歯周ポケットの中まで歯石・歯垢ができ歯周病菌が入り込みますので徹底的に除去し洗浄します。

歯のぐらつきがひどい場合は歯周病菌の温床となるので抜歯します。

 

年齢・体調により全身麻酔のリスクが高いと判断した場合は、抗生物質を使用して歯周病菌の繁殖を抑えます。

歯石は目に見えない小さな穴が豊富にあり、そこに菌が隠れるので歯石を除去しない限りは完治は困難です。

 

※無麻酔スケーリングは推奨できません

暴れてしまうと動物、施術者共に危険です。無理に押さえるとストレスやトラウマになってしまう恐れがあります。

なにより、見た目はキレイに出来ても最重要箇所は歯周ポケットです。

無麻酔で歯周ポケットまでキレイにするのは至難の業です。

リスクと完成度の観点から当院では無麻酔スケーリングは実施しておりません。

 

 

 

■予防について

歯ブラシで物理的に歯垢を落とすことが最も効率的です。

どうしても磨き残しはできますので歯垢を分解できる酵素の入った歯みがきペーストを併せると精度が上がります。

歯ブラシが難しい場合はガーゼ等を使用するのもよいですが狭い隙間までは難しいので歯ブラシには劣ります。

食べカス、歯垢は日頃のケアで落とせますが歯石を落とすのは困難です。

また、自然に抜け落ちない乳歯が残っている場合、永久歯との隙間に食べカスが溜まりやすいので不妊手術の際に抜いてしまうことが有効です。

 

歯みがきガムは注意が必要です。

理由としては最重要箇所の歯と歯茎の間まで届きにくいこと。満遍なくできないこと。

また、材質を選ぶのが難しく、柔らかめだとすぐ飲み込んでしっかりできず、硬めだと歯の摩耗や破損につながります。

※犬猫のエナメル質(歯の最外層で最も硬い部分)は薄く、人は2.5mm、犬は0.1~1mmです。

犬は本能的に硬いものを噛むのが好きですが人より歯が脆いためおもちゃなどにも注意が必要です。

摩耗や破損している子はかなり多いです。

歯ブラシも柔らかめなものがよいです。

 

 

 

■歯みがきの頻度は?

理想的には1日1回です。

プラークになる前に落としてあげるのことが理想的です。

歯垢は食後20分後から付着し、6~20時間で成熟プラーク(菌の塊)となります。

また、pHが高い(アルカリ性)と石灰化しやすく、犬猫は唾液pHが高いため人より歯石が出来やすいです。

人30日、犬3~5日、猫7日で歯石ができます。

歯石になると日常ケアで落とすのは困難ですので遅くとも歯石になる前に落としてあげましょう。

 

 

 

犬猫は人間と同じように永久歯は二度と生え変わりません。

個体差はありますが早い子だと2~3歳で永久歯が抜け落ちてしまう子もいるので年齢は関係ありません。

年齢や体調によっては全身麻酔のリスクが高くなり処置が出来なくなってしまうこともあります。

日常ケアと歯石が出来てしまった際の除去はとても大切です。

 

お口の健康、いまいちど見つめ直してみてはいかがでしょうか?