漢方・鍼灸は中医学という学問を原点とします。
科学がなかった時代に先人たちが何千年と臨床経験を培い歴史に裏付けられた理論に基づいて発展した医学です。
科学的根拠のある一般診療とは違い、自然の摂理を重視します。
例えば、夏は暑く冬は寒い、木は火で燃える、火は水で消えるなど、疑う余地のない事実があります。
生命はこれらが複雑に絡み合っており、医学として体系立てたのが中医学です。
また、例えば25℃という気温があったとします。同じ数字でも夏と冬とでは体感温度が違います。
体感温度というとあまりにも主観的ですが、それを無視すると健康を維持できないことは疑う余地のない事実です。
条件によっては数字の持つ意味も変わってくることがあります。
客観的データはもちろん大事ですが、それだけにとらわれずに自然の摂理も考慮に入れることが大切です。
自然の摂理と小難しく表現しましたが、一言で表すと”バランス”です。
「足りないものを補う」「不要なものを捨てる」が原則です。
中医学では体が発するサインを拾い、体質を見極め、バランスを整えるという方法をとります。
一般診療とは違ったアプローチが可能となり、一般診療では説明のつかなかった病気にも対応できる可能性があります。
漢方薬とは、簡単にいうと薬の効能を期待した食べ物です。
「風邪を引いたらショウガ湯がよい」「夏バテにはウナギがよい」「ハトムギの美白効果」
などなど聞いたことがあると思います。
身近な食べ物にもそれぞれ効能があります。
身近な食べ物よりも効能がはっきりとした食材のことを生薬。
生薬などの食材を体質に合わせて調理したものが薬膳料理。
生薬を濃縮し複数の生薬を組み合わせて期待する効能を狙ったものが漢方薬です。
”薬食同源”という言葉がありますが、日ごろ食べる食材も使い方によっては薬となります。
また、鍼治療とは経穴(ツボ)を刺激する治療法です。
ツボは解剖学では説明することができませんが、刺激をすると確かに効能があります。
ツボとツボを繋ぐ経絡という線がありますが、似たような効能を示すツボを繋いでいて規則性があります。
この経絡に不調があると、それが支配する部位にも不調が生じます。
鍼治療もツボをただ刺激をするだけではなく、経絡のバランスを整えていくことを目的とします。
比較的運動器には効果を示しやすいですが、熟練すると臓器の不調にも対応することができます。